仙台市海外販路開拓チャレンジ支援助成金
自社で企画・開発した商品を海外へ売り出すとき、その費用の2分の1から3分の2が戻ってきます。上限は10万円から100万円まで9段階。この段階を決めるのは事業の中身ではなく、過去5年間に公的機関の支援を受けたことがあるかどうかです。同じ事業計画でも、上限が10万円になる事業者と100万円になる事業者がいます。受付は令和9年3月1日まで。
- 誰が使えるか
- 仙台市内に主たる事業所を有する中小企業者で、自ら企画・開発した商品、または自ら製造(加工)に関与する商品を海外市場へ展開する事業者。商社・卸売業など、仕入販売や仲介を主たる事業とする方は対象外
- いくら
- 助成率3分の2または2分の1/上限 10万円〜100万円(9通り。過去5ヶ年度の公的支援の実績と、重点産業・重点地域への該当で決まる)
- いつまで
- 令和8年4月1日〜令和9年3月1日。予算の執行状況により予告なく終了。原則として事業開始日の1ヵ月前までに申請
- 実施機関
- 仙台市 経済局 産業政策部 中小企業支援課 販路開拓支援係
誰が使えるかWho
入口の条件は、仙台市内に主たる事業所があることと、売り出す商品を自分で作っていることの二つです。
後者の書き方が独特です。交付要綱第4条第1号は、対象者を「自ら企画・開発した商品又は自ら製造(加工)に関与する商品を海外市場へ展開する者」と定め、そのあとの括弧で「商社、卸売業その他他者が開発・製造した商品又はサービスの仕入販売又は取引の仲介を主たる事業とする者を除く」と念を押しています。
つまり、よそから仕入れた商品をそのまま海外へ売る事業は想定されていません。企画したか、開発したか、製造や加工に関わったか。そのどれかが自社にあることが前提です。
このほか、次の条件がすべて必要です。
- 中小企業基本法第2条第1項に該当する中小企業者であること
- 同一年度内に、この助成金の交付を受けていないこと
- 市税を滞納していないこと(個人は個人市民税・固定資産税・軽自動車税(種別割)・都市計画税。法人はこれに法人市民税・特別土地保有税・事業所税などが加わり、市民税と事業所税の申告も済んでいること)
- みなし大企業でないこと(一つの大企業が資本金の2分の1以上、または複数の大企業が3分の2以上を占める企業、大企業の役職員が役員総数の2分の1以上を占める企業)
- 暴力団等と関係を有していないこと
- 公的機関等から、同一の経費区分に関する助成を受けていないこと
回数にも上限があります。この助成金と、その前身にあたる仙台市輸出入チャレンジ支援助成金を合算して通算5回までです。
いくらもらえるかHow much
この制度でいちばん気をつけるところです。上限額は事業の規模で決まりません。過去5ヶ年度以内に、公的機関の支援事業を受けた実績があるかどうかで、まず三つの区分に分かれます。
区分1:過去5ヶ年度以内に、指定の支援事業に採択された場合(助成率 3分の2)
交付要綱の別表2-2に載る支援事業です。ジェトロの新輸出大国コンソーシアム事業、海外見本市・展示会(ジャパン・パビリオンへの出展支援)、TAKUMI NEXT、農林水産・食品分野の輸出専門家による個別支援サービス。中小機構の海外展開ハンズオン支援(長期支援・H型)。JICAの中小企業・SDGsビジネス支援事業。このいずれかに採択された実績が要ります。
- 初めての海外販路開拓事業 ―― 上限100万円
- 重点産業かつ重点地域 ―― 上限100万円
- 重点産業のみ、または重点地域のみ ―― 上限75万円
- どちらにも当てはまらない ―― 上限50万円
区分2:過去5ヶ年度以内に、指定の支援事業を活用した場合(助成率 2分の1)
別表2-3の支援事業です。区分1より入口が広く、ジェトロのコーディネーターによる輸出支援相談、貿易実務オンライン講座、JAPAN MALL事業、JAPAN STORE、中小企業海外ビジネス人材育成塾。中小機構の海外展開相談(S型)、海外企業CEO商談会、J-GoodTech。仙台市の仙台―タイ経済交流サポートデスク、海外展示会出展事業、GLOBAL Business Challenge SENDAI+ など。仙台市産業振興事業団のオーエン(仙台市中小企業応援窓口)、販路開拓サポート、展示会共同出展サポート、海外展開サポートなども含まれます。
ただし要綱の注記により、ウェビナーとセミナーは対象外です。相談や講座を「受けた」ことが要ります。
- 初めての海外販路開拓事業 ―― 上限50万円
- 重点産業かつ重点地域 ―― 上限50万円
- 重点産業のみ、または重点地域のみ ―― 上限35万円
- どちらにも当てはまらない ―― 上限25万円
区分3:上記以外(助成率 2分の1)
- 重点産業かつ重点地域 ―― 上限20万円
- 重点産業のみ、または重点地域のみ ―― 上限15万円
- どちらにも当てはまらない ―― 上限10万円
重点産業は、健康福祉産業・工芸品産業・食品産業の三つ。重点地域は、タイと台湾の二つです。
計算例
食品を製造している仙台市内の事業者が、タイの展示会に出展し、対象経費が90万円かかったとします。食品産業は重点産業、タイは重点地域なので、どの区分でも上の段に入ります。
- 過去5年にジェトロの新輸出大国コンソーシアム事業に採択されている場合 ―― 90万円 × 3分の2 = 60万円(上限100万円の範囲内)
- 過去5年にジェトロの輸出支援相談を活用した場合 ―― 90万円 × 2分の1 = 45万円だが、上限50万円の範囲内なので 45万円
- 過去5年に公的支援の実績がない場合 ―― 90万円 × 2分の1 = 45万円だが、上限20万円のため20万円
同じ事業計画、同じ経費で、受け取る額が60万円と20万円に分かれます。差は40万円です。
端数の扱いにも決まりがあります。助成金の額に1,000円未満の端数が出たときは切り捨てます(要綱第6条第2項)。対象経費が33万5,000円で助成率2分の1なら、16万7,500円ではなく16万7,000円です。
何に使えるかEligible costs
対象となる事業は四つの区分に分かれ、経費は組み合わせて申請できます。
1. 海外販路開拓の事前準備およびFS調査
- 翻訳費(資料・表示・Web掲載文などの多言語化)
- 自社Webサイト等の海外向けプロモーションコンテンツの制作・改修費
- 海外市場向け商品・サービスの仕様変更費(表現・単位・通貨・規格の調整、現地要件への軽微な改修、パッケージや表示内容の改版など)
- 調査委託費(海外市場調査・現地ヒアリングの外部委託。報告書などの成果物の提出を受けるもの)
- 旅費
2. 海外への電子商取引等
- 出店・プラットフォーム利用料(海外向けECモールの出店料、決済・システム利用料、ライブコマース用プラットフォーム利用料)
- 自社販売サイトの構築・改修費(越境ECを含む制作・改修、機能追加、多言語設定など)
- 海外向け広告・マーケティング費(広告出稿、SNS・検索連動広告、運用委託、効果測定、インフルエンサー起用報酬)
- コンテンツ制作・多言語化費(商品説明文、画像・動画の制作と編集、翻訳、ネイティブチェック)
3. 国際見本市への出展(海外向けオンライン出展を含む)
- 旅費
- 会場費(会場借料・小間料、展示工事費、装飾工事費、電気工事費、備品使用料、登録料)
- 現地通訳費
- 輸送費(出展製品・パンフレット等の輸送、輸出入諸費用、保険料)
- 広報・宣伝活動費(当該展示会のために新規に作成したものに限る)
4. 輸出に係る事業
- 通関・輸出手続費、国際輸送・梱包・貿易書類取得費、国内輸送・荷役・保管費
- 輸出検査・証明取得費(検疫、放射性物質等の検査、原産地証明などの発行)
- 保険料(貿易保険、貨物保険、生産物賠償責任保険)
- 認証・規制対応費、表示・ラベル・取扱説明書等の改版・印刷費
- 法務・契約・権利対応費、決済・送金関連費
対象にならないもの
- 国内取引に係る消費税および地方消費税相当額、振込手数料、代引手数料、収入印紙代、通信費などの間接経費
- 海外販路開拓を主たる目的としない取組(国内での販売促進や、国内で提供する商品・サービスの利用促進を主とするものを含む)
- 成人向けの商品・コンテンツ、特定の政治や宗教の宣伝、法令に違反するおそれのあるもの、公序良俗に反する表現を含むもの
- 旅費のうち、飲食費・交際費。周遊券やフリーパスなどの乗り放題券
旅費には細かい条件が付きます。航空費・宿泊費とも2名分まで、エコノミークラスに限られ(プレミアムエコノミーとビジネスクラスを含まない)、宿泊は7泊が限度。1泊あたりの料金は、実費と仙台市職員の旅費等に関する条例の基準額のうち低いほうが対象です。またFS調査の旅費と、海外渡航を伴う調査委託費は、公的機関等もしくはその関係者が同行する事業のみが対象です。
何が要るかDocuments
交付申請のときに出すものです。
- 助成金交付申請書(様式第1号)
- 助成事業に係る事業計画書(別紙1-1)
- 助成事業に係る収支予算書(別紙1-2)
- 助成対象経費に係る経費見積書等
- 選定理由書(相見積もりを行わなかった場合、または最低価格の事業者を選ばなかった場合)
- 別表2-2の支援事業に採択されたことを証明する書類(採択書など)
- 別表2-3の支援事業を活用したことが分かる書類(公的機関等が発行したものに限る)
- FS調査の概要が分かる資料、国際見本市の出展案内またはパンフレット、輸出商材の概要が分かる資料
- 会社概要書
- その他、市長が必要と認める書類
準備に日数がかかるのは4番と5番です。翻訳費、Webサイトの制作・改修費、商品の仕様変更費、そして電子商取引に関する経費は、原則として2社以上から相見積もりを取ることになっています。しかも作業範囲・成果物・納期・支払条件を同一の条件に揃えて、比較できる形で出す必要があります。見積もりを頼んでから揃うまでの時間を見込んでおかないと、事業開始日の1ヵ月前という申請期限に間に合いません。
6番・7番も同じです。過去の採択書や活用証明が手元にない場合、発行元へ問い合わせる時間が要ります。これが揃うかどうかで上限額が変わるため、後回しにできない書類です。なお、提出できない場合は市から公的機関等へ照会を行う、との注記があります。
実績報告では、実績報告書(様式第9号)、助成事業の実績報告書(別紙2-1)、収支報告書(別紙2-2)、事業の成果が分かる書類、領収書・契約書などの証拠書類の写しを出します。クレジットカード払いの場合は利用明細書が要り、対象外の経費を一緒に支払っているときは該当部分に印を付け、余白に内訳を書きます。
気をつけることWatch out
- 上限額が9通りに分かれます。過去5ヶ年度の公的支援の実績が、そのまま上限額に直結します。心当たりのある事業者は、まず別表2-2と2-3の一覧に自社が受けた支援が載っているかを確かめるところから始めることになります。
- 申請は原則として事業開始日の1ヵ月前までです(要綱第7条)。使った後で申請する制度ではありません。交付決定は、申請が到達してから14日以内に通知されます(第10条)。
- 旅費と会場費の例外に注意が要ります。交付決定前に支払っていても、交付決定日以降に見本市が開催されるかFS調査が行われるなら対象になります。ただし審査の結果が不交付なら対象外です。先に払った分は自己負担になります。
- 相見積もりを取らない場合は選定理由書が必要です。最低価格の事業者を選ばなかった場合も同じで、品質・実績・対応体制など価格以外の理由を書いて出します。
- 商社・卸売業は入口で外れます。自ら企画・開発したか、製造や加工に関与しているかが要件です。
- 通算5回までです。前身の仙台市輸出入チャレンジ支援助成金と合算します。
- 予算の執行状況により、予告なく終了する場合があります。令和9年3月1日まで受け付けられる保証はありません。
- 後払いです。実績報告を出し、市が額を確定し、確定通知を受け取ってから10日以内に請求書を出して、そのあとに支払われます。事業を実施する時点の資金は自分で用意することになります。
- 実績報告の期限は、事業終了後1ヵ月以内か、その年度の3月10日のいずれか早い日です。
- 消費税および地方消費税の相当額は対象外です。見積書の税抜き額で考えることになります。
- 助成事業に係る収入と支出を明らかにした帳簿等の証拠書類は、5年間保存する義務があります。
締切日について
仙台市のページは期間を「令和8年4月1日 ~ 令和9年3月1日」と書き、あわせて「令和9年3月1日までに事業の実施及び経費の支払いが完了するものに限ります」と注記しています。交付要綱第3条も同じく、交付決定を行った年度に属する3月1日までに事業の実施と経費の支払いが完了するもの、と定めています。
他方で要綱第7条は、申請書を原則として事業開始日の1ヵ月前までに提出せよ、としています。この三つを重ねると、3月1日の直前に申請しても、その時点から事業を始めて同じ3月1日までに支払いまで終えることはできません。実際に間に合う申請の時期は、3月1日よりかなり前になると読めます。
ただし、市のページは「申請の締切」という形の日付を、3月1日のほかに示していません。上の読み方は当サイトが要綱の条文を突き合わせたもので、市が明示しているものではありません。事業の時期が年度末に近い方は、中小企業支援課 販路開拓支援係(022-214-1005)へご確認ください。
申請についてApplying
申請書類の作成代行は、行政書士の業務です。当サイトは制度の情報をまとめたもので、代行は行っておりません。個別の申請については、制度の実施機関または、その手続を取り扱う専門家へご相談ください。
https://www.city.sendai.jp/jigyosuishin/jigyosha/kezai/jigyosho/shien/challenge.html
出典:仙台市「仙台市海外販路開拓チャレンジ支援助成金交付要綱」(令和6年3月27日経済局長決裁、令和8年4月1日改正)
https://www.city.sendai.jp/jigyosuishin/jigyosha/kezai/jigyosho/shien/documents/outline_1.pdf
出典:仙台市「助成率及び助成上限額(別表2)」
https://www.city.sendai.jp/jigyosuishin/jigyosha/kezai/jigyosho/shien/documents/subsidy_1.pdf
確認日:2026-08-15
※本記事は公募要領をもとに作成したものです。最新かつ正確な内容は必ず公式の公募要領をご確認ください。制度の内容は変更されることがあります。